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執筆者の写真田中 利加

夢の中のピアニスト Vol.145 2023/11/09


あたたかかったり、朝はとても冷えたりと体調を崩しやすい時期ですね。

今日は、指についてお話したいと思います。

手は「第二の脳」とも言われているように、手と脳には深い関係性があります。

特に、幼い子どものうちに指先をしっかりと動かすことは、脳の発育にとって非常に重要だと言われています。


ちょっと考えてみてください。

手と指は、何に使うでしょう。

ご飯を食べる時、はしやスプーンなどをもったり、食べ物を直接手で持ったりします。

字を書くとき、鉛筆やペン、筆を持ちます。

火をつけるとき、手を使ってつけます。


このように、生きていく上でとても大切な役割を持っているのです。


それを動かしているのが、「脳」です。


ピアノを弾くことが「脳」に良いことがわかります。

前にも書きましたが、左手を使うと右脳(右脳はイメージ力や記憶力、想像力やひらめきを司る脳です。 視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感に関係します。感情のコントロールや 音や色の違いを認識したり、物事に感動したりするのも右脳の働きによるものです。 右脳は情報をイメージとして認識し整理する役割を果たしています)が働きます。


右手を使うと左脳(左脳は言語や計算力、論理的思考を司る脳です。記憶にも関係していますが、主に言語や数的処理を司る脳なので、記憶脳力は右脳に比べると劣っています)が働きます。


そして、その信号が行き来するところが脳梁(左右大脳の中央にあります。右脳と左脳を形態的および機能的に連結する線維の束のことです。)で、そこを行き来することで、脳は成長し、私たちは正常に動いていられます。そして最近の研究では、脳梁はいくつになっても鍛えることができるそうです。



さて、今日はピアノを弾く指について考えてみます。


レッスンを受けている生徒さん達には、毎回、言っていることかもしれませんが、確認してみたいと思います。


『指を丸くして弾く』と言います。これは、指の先まで、神経が伸びて、脳と指先の神経が繋がるためです。丸くしようと思うだけで、その指のことを考えます。それが指先の神経を作ることになるのです。

神経が伸びてくると、栄養が必要ですから、血管が伸びてきます。

血管が伸びて血液が流れてくると、栄養を取り入れて、神経もそのまわりの筋肉も成長します。こうして、指先が脳と繋がっていくのです。


このようにして、神経ができていきますが、そのために一番大切なのは、


『感じること』


です。

「今、2の指(お母さん指)を使っているよ。」


とね。


そうすることで、脳と繋がっていきます。そうやって繋がらないとせっかくピアノを弾いても「信号」が脳梁を行き来しません。脳が成長しないんです。


このことが、良い音を出すための秘訣になります。気持ちを指先で表現するためには脳と指先が繋がっていないと、自分の思い通りの音を出すことができないのです。

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