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夢の中のピアニスト Vol.152

  • 執筆者の写真: 田中 利加
    田中 利加
  • 5月19日
  • 読了時間: 4分

夢の中のピアニスト Vol.152   2025.5.18


5月も半ばになりました。この時期は新緑の緑が目に生き生きとうつります。

庭の蜜柑の花の香りが窓を開ける度に漂ってきて、幸せな気分になります。

新緑はまた、強い香りと共に夏の訪れを知らせてくれますね。


さて、今日は、ピアノの練習曲について書いていきたいと思います。

ピアノの練習曲というとたいていの方が「チェルニー」を思い浮かべることと思います。

「バイエル」・「ハノン」・「クレメンティ」・「クラーマ=ビューロー」・「モシュコフスキー」・「バッハ」

などなど、沢山の作曲家が練習曲を生み出しています。上に挙げた名前は、全て人の名前ですが、日本では、なんだか練習曲集の《表題》の様に思われている方も多いと思います。

他にも【メトードローズ】・【ABC】・【テクニック】・【ラジリテ】などもあります。

今思い出すと、私は全て練習してきました。たくさん弾いたなぁと思います。


今回は、作曲家「チェルニー」についてお話したいと思います。

と言うのも、このところ大人の生徒さんから、


『どうしてそんなにピアノの弾き方をご存知なんですか?』


と聞かれたので、考えてみましたら、やはり「チェルニー」の曲のおかげかとも思うからです。


小学生の頃は、1日3時間は弾いていました。弾かないと1週間で言われた宿題をこなせなかったと言うこともありますが(バッハ、チェルニー、ソナタ、ロマン派の曲の4曲は必ず宿題として出ていました)、習慣になっていましたので、当たり前だと思っていました。

ですから、小学校4年生までに、「チェルニー」100番、30番、40番、50番、60番(難易度順)は終わっていました。

100番というのは100曲、30番というのは30曲入っている曲集です。


今では、この曲集は、《こどもへの虐待ではないか》という意見もあり、私もあまり生徒さんに使いませんが、たしかに、数が多すぎて、弾くのが大変でした。でもこの中にほとんどの技術が入っていて、それを繰り返し練習することで、身についたことも確かです。


なんでもそうだと思いますが、やはり技術というのは、何度も何度も行う事で、習得されていくモノですね。



「チェルニー」は、「ベートーヴェン」の21年後に生まれました。お父様が音楽家だったので、小さい頃からピアノの手ほどきを受け、神童と呼ばれるようになります。

お父様が先生を探されている時に「ベートーヴェン」を知り、「チェルニー」が10歳の時に「ベートーヴェン」の弟子にしてほしいと「ベートーヴェン」にたのみます。

それから約10年間「ベートーヴェン」の下で頑張ったようです。


「ベートーヴェン」の曲は全て暗譜で弾けるほど弾いていたようで、自分の生徒さんにも弾いてもらいたくて、沢山の練習曲を作ったと私は小さい頃教えられました。その後、研究が進むと、お金のためだとも言われるようになりました。が、私としては「ベートーヴェン」の曲を弾かせたい、と作った曲集だと信じたいです。


そして、「チェルニー」のお弟子さんの中に、「リスト」がいました。

「リスト」は「チェルニー」にだけ教えてもらったそうです。

教えることがとてもじょうずだったとも言われています。


教えることを中心にしたチェルニーは、それこそ多くの練習曲集を世に出しました。


沢山の曲がありすぎて、面白くないという方もいらっしゃいますが、ピアノを弾く上での基本がみっちり詰まっています。



私は、それを練習してきたからこそ、みなさんに、練習曲を使わないでも、曲の中でどういう練習をしたら上手になるのかを伝えられるのだと思っています。

毎日ピアノだけ弾いているわけではないので、少しでも早く楽しんでもらえるぐらい弾ける様になってほしいと願っています。




私は、音楽は、五感で感じ、呼吸で作っていくものだと思っています。

ですから、ジャンルにこだわらず、楽しめるよう私も練習しています。


ピアノを何度も弾くことで、ピアノと一体化していきます。

あるとき《ゾーン》と、呼ばれる境地に入るようになります。そうなると気持ち良くて、また味わいたくなります。


発表会で、ユリックスのグランドピアノを弾いて

「ああ、なんて良い音なんでしょう。と、気持ち良く弾けました。」

と話してくださった大人の生徒さんがいます。


それは《ゾーン》に入った証拠ですね。


音を間違えるとか、そういうことは関係ないんです。


是非《ゾーン》を味わってみてくださいね。

 
 
 

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