夢の中のピアニスト vol.154
- 田中 利加
- 6月21日
- 読了時間: 4分

夢の中のピアニスト Vol.154 2025.06.21
今日は、ピアノを弾くときの『姿勢』について書きたいと思います。
ピアノを弾くための《正しい姿勢》を考えたことがあるでしょうか。
ピアニストは、身体を動かしながら弾くので、決まっていないように思われるかもしれませんが、実は、練習の時は基本に忠実に演奏をされています。
では基本とはなんでしょう。
次の①~⑤が一般的に言われているピアノを弾く《正しい姿勢》と思います。
①椅子の高さ: 肘が鍵盤と同じ高さか、やや上に来るように調整します。腕が自然に下に向かって鍵盤に触れる角度が理想です。
②座り方: 椅子に浅く座り、鍵盤から適度な距離を保ちます。肘が体の少し前に出るくらいが良いです。
③背筋を伸ばす: 背筋を伸ばし、肩や腕の力を抜いてリラックスします。
④手の位置: 鍵盤の上に軽く手を置き、指はまっすぐにせず、常に曲がった状態で鍵盤を押します。
⑤足の位置: 足は床にしっかりとつけ、かかとからつま先まで足裏が床につくようにします。
上記の①~⑤は、ピアノで奏でる音楽が少しでも美しく、自分がイメージするままに弾けるためにはとても重要なことなんです。
これらは初めてピアノを弾き始める時には、わかりやすくて良いと思います。
でもその意味を理解することの方が、とても大切なんです。
なぜこうしたら良いと言われているのか。
それを少し考えてみたいと思います。
ピアノは指の先で弾きます。指の先が鍵盤を押すことで、音が出ます。その押し方で音が変わるのです。そしてその音は、音楽の世界を広げます。
自分が繰り広げるイメージを、指先に届けるのは、頭からの指令です。
神経を通して指先に伝えます。
それを再現するためには、指の神経を育てなければなりません。
神経を育て、音を出すための指の筋肉を鍛えます。
こうして指が強くなると、指で鍵盤が押せるようになるので、腕の力が抜けてきます。
よく、「腕の力を抜いて」と言われますが、指で弾く以上、腕に力が入ります。ただ、指がしっかりしてくると、腕は指を支えているだけになり、力がぬけてくるのです。
さて、①の《椅子の高さ》がこの腕の力を抜くのに大切になります。
両腕の重さは、50㎏の方で、6㎏にもなるそうです。ですから、手首がピアノより下に行かないようにして、指に力が入るようにします。
そして④の《指の形》が必要になります。
指の第一関節のまわりの筋肉を鍛えることで、指の先までしっかりと神経が伸びていきます。そのことがとても大切です。
そして、③の《背筋を伸ばす》で、音を聴く耳を鍛えます。イメージどおりの音が出ているかは、耳で聴かなければなりません。
そのためには、背筋を伸ばすことが大切になります。
耳と背中が関係するの?と思われるかもしれません。背筋を伸ばすと肩がちょうど耳の真下に来ます。背中が丸くなっていると肩は耳より前に出てしまいます。これは、肩甲骨のまわりの筋肉がのびてしまっている状態になり、首の筋肉を一緒に引っ張っています。
また、頭の重さは体重の10%ぐらいだそうです。50㎏の方で、5㎏です。すごく重たいものですね。その頭を支えているのが、骨盤から背骨なのです。
背中が丸まって頭が肩より前に出ると、その重さが、首や肩にのしかかります。
そして耳が上手く使えなくなり、聴きにくくなってしまうのです。
そこで、②の《座り方》が大切になります。椅子に浅く座ることで、骨盤を自由に使えるようになるからです。
ピアノもスポーツと同じで、骨盤、そして丹田とよく言われる下腹で身体を支えて弾きます。椅子に深く座ってしまうと、足が浮き、体重が全部骨盤にかかり、動けなくなります。
⑤は足をしっかりと床につけるということですが、ペダルを踏む時は、かかとをしっかりと床につけます。私は両足がしっかり床についていなくても良いと思っています。
腰と片足でしっかり身体を支えて、肩、腕、指を楽にしてあげてください。
しっかりと練習ができたら、今度は身体を自由に使って、自分の世界を広げてくださいね。
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