夢の中のピアニスト Vol.121
- 田中 利加
- 2021年7月18日
- 読了時間: 2分

音について
先日、レッスンで、大人の生徒さんが弾いている曲(ショパン)を弾きながら、
「ここはこんな風、この音はこんな感じ。」
と、言いながら、弾いていったら、
「曲のお話って全体のことかと思っていたら、一つひとつの音にお話がついているんですね!」
と、言われました。
そうなんです。
音、一つ一つに素敵なお話があり、それは作曲者の気持ちだったり、演奏する人の気持ちだったり、でいろいろ変化しますが、それを感じることが楽しいんです。
「そうやって話してくださったので、弾くのが楽になりました!」
と、言ってくださったときは、私も嬉しい気持ちになりました。
勝手な解釈は良くないと思いますが、プロとして人に発信するので無いなら、自分の好きなように感じる音があって、それを楽しむことが、とても幸せなことだと思います。
今度は小さい生徒さんが。
私が、重音(二つの音を同時に弾くこと)の左手をお手本として弾いてあげると、
「あ、左手にもメロディがあるんだね!!!」
と嬉しそうに言うのです。
素敵ですね。重音の伴奏を聴いて、メロディ聞こえてくるんですから。
きっと素敵な風景が浮かんだことと思います。
そうしたら、今度は小学生の男の子が、タランテラという曲について
「戦闘の曲」
と、曲名を自分でつけていました。
タランテラというのは、イタリアの踊りの曲なんです。
複数の期限があります。
南イタリアのプーリア地方の港湾都市、「タラント」のダンスを起源とする説。
その地域にいる毒蜘蛛「タランチュラ」に指されたときに痙攣して激しく踊る様子を起源とする説。
また、激しく踊ると治るという説、があります。
その小学生には、そんな話はしていませんでした。ただ、虫が好きなので、
「タランテラは蜘蛛のことだよ。」
と話していました。
でも、この音楽は彼にとっては戦闘的なんですね。
写真はその楽譜の一部です。激しい感じがして、そんな感じで弾いてくれました。
さて、話は変わりますが、タランテラでは、リストの「タランテラ」が有名です。
リストは、ゲーテと同じく、音楽発症の地である「イタリア」に魅了され、作品に「巡礼の年」というのがあります。
その第3集、「第2年 追加 ヴェネツィアとナポリ」最終曲が「タランテラ」です。
かっこいい曲ですので、お時間のあるときにどうぞ。
弾いているのは、ヴィタリーピサレンコさんです。彼は、1987年7月24日生まれです。私の娘と同じ歳です。彼はウクライナのピアニストで、2008年の国際フランツリストピアノコンクールの優勝者です。
手が蜘蛛のように動きますよ。
是非お子様も一緒にお楽しみください。
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