夢の中のピアニスト vol.123
- 田中 利加
- 2021年10月17日
- 読了時間: 4分
夢の中のピアニスト vol.123
10月17日はショパンの命日です。
ショパンの母国、ポーランドのワルシャワでは、様々なコンサートが繰り広げられているそうです。
まさに今、5年ごとに行われる、フレデリック ショパン国際コンクールが、コロナのために一年延びて行われています。
日本では、『ピアノの森』で有名になったピアニストさんが出場されていますので、興味を持ってくださった方が多くなっていることと思います。
このコンクールは、1927年に始まりました。世界最高峰、最古のコンクールとして、たくさんのピアニストが生まれています。16歳から30歳の方のコンクールです。
そして、今まさにショパンコンクールの3次予選の審査結果が発表されました。突破は以下12名です(苗字の英字順)。
1. Leonora Armellini レオノーラ・アルメッリーニ (イタリア)
2. J J Jun Li Bui ジュン・リ・ブイ (カナダ)
3. Alexander Gadjiev アレクサンダー・ガジェヴ (イタリア)
4. Martin Garcia マルティン・ガルシア (スペイン)
5. Eva Gevorgyan エヴァ・ゲヴォルギヤン (ロシア)
6. Aimi Kobayashi 小林愛実 (日本)
7. Jakub Kuszlik ヤクブ・クシュリク (ポーランド)
8. Hyuk Lee イ・ヒョク (韓国)
9. Bruce Liu ブルース・リウ (カナダ)
10. Kamil Pacholec カミル・パホレツ (ポーランド)
11. Hao Rao ハオ・ラオ (中国)
12. Kyohei Sorita 反田恭平 (日本)
ファイナルは10/18~20に行われます,
-日本からは、お二人の方がファイナルに残られています。
小林愛実さんと、反田恭平さんです。
私は、『牛田智大』さんを応援していました。小さい頃から国際コンクールで優勝し、演奏活動を行っている、21歳の青年です。
残念ながら、二次まででしたが、素敵な手記を発表してくださいましたので、お伝えしたいと思います。
【ショパンコンクールに向けてさまざまな場所で応援してくださった皆さま、お力添えをくださった皆さま、本当にありがとうございました。偉大な歴史を持った素晴らしいコンクールで演奏するという機会を得られたこと、そしてそれを多くの皆さまと共有できたことを心から光栄に思っております。
このコンクールで審査をしてくださっている先生方は、音楽家として心から尊敬する存在で、演奏を聴いていただけたことをとても光栄に思っております。今回の判断を心から支持しています。
一方で、ご期待を寄せてくださっていた皆さまには、結果という形で報いることができなかったことを本当に、申し訳なく思っています。
今回はなかなかホールの音響がつかめず、どこが最大音量なのかを見極められないままラウンドを終えてしまい、ダイナミクスの構成や音色の種類の調整が大きく狂ってしまいました。ホールの音響上、自分の音量が足りていないのではないかと錯覚してしまい、かなり不自然な力でピアノから芸術的でない飽和した響きを引き出してしまった瞬間がありました。
また、響かないホールで音量を出すためにバスや最も重要な音を少し遅らせると倍音の効果でピアノが鳴っているように聞こえさせることができるのですが、ホールの音響がつかめないため、無意識に多用してしまっていたようです。
左右のズレは20世紀の典型的なテクニックではありますが、現代ではあまりふさわしいテクニックではありません。もちろんポリフォニックな部分やレチタティーヴォ的な旋律の部分では声部ごとのイントネーションの違いから必然的なズレが生じるのは自然に聞こえる範囲内であれば許容されるべきだとは思いますが。
計算違いが重なり想定していたものとはかなり違った音楽を提示する形になってしまいましたが、自分にとっては準備の過程のなかで作品についての勉強をたくさんさせていただけたことが、かけがえのない経験と財産となりました。
今後より成長して、また皆さまに聴いていただけるよう精進したいと思います。】
出場されている方々はみなさんこんな風に細かいところまで神経をいきわたらせ、音楽を作り上げていきます。
そして、歴史、風土、時代などを勉強し感じて、自分の音を作り上げていくのは、本当に楽しいことだと思います。
コンクールのファイナルの演奏を楽しみたいと思います。

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