夢の中のピアニスト Vol.126
- 田中 利加
- 2021年12月12日
- 読了時間: 2分

ピアノを弾く時の指って、どうして丸くするのでしょう。
このところ、ピアノの生徒さんは指をとても丸くするようになってきました。
丸くするのは意味があるのです。
ピアノは、その人の気持ちや考えや思いが、指によって奏でられます。
音は一つではなく、弾き方で、全く違う音が出ます。
ピアノと一口に言っても、いろんな種類があります。
グラントピアノ、縦型のピアノ、電子ピアノ。
みんなそれぞれ全く違います。
グラントピアノと縦型のピアノは同じ鍵盤ですが、中の構造が違うため、音の出し方が違います。
電子ピアノもとても良くなっているので、弾き方で音が変えられるようになりました。
素晴らしい技術ですよね。でも生のピアノみたいには音が出ないと思っています。
では、その音はどうやって作られるのか、考えたことがありますか?
自分の指で作るのです。
そのために、小さい頃は、まず指を丸くして、第1関節、第2関節のまわりの筋肉を鍛え、血管をしっかりさせて、血流を良くして栄養を運べるようにし、筋肉や神経がどんどん成長できるようにします。
そうすると、自分で思い描く音が少しずつ出せるようになるものだと、私の先生はいつも言ってくれていました。
職人といわれる方は、
『指の先に目をつける』
と言われます。
指先と脳が繋がることで、より良いものが生まれるのだと思います。
ピアノの場合、「目」で指を見ていると「目」が「手」の動きを脳に伝えてしまいます。
そうすると、なかなか「指」と「脳」が繋がりません。
「心」と「指」を繋ぐために、指を丸くして練習します。
できあがってしまえば(「心」と「指」が繋がってしまえば)、あとは指を伸ばした方が良ければ伸ばしても、ちっとも構わないのだと思っています。
はじめは、指を丸くすると弾きにくく感じますが、そうやって弾いていないだけで、すぐに子どもは慣れてきます。その方が本当は弾きやすいのですから。
鍵盤は、白いところと黒いところがあるため、普通に考えても、細かい動きは少し丸くした方が弾きやすいです。
また、丸くしようとすることで、これから演奏するという準備の時間となります。
気持ちを入れた指と音は、そうでない音とは全く違う響きになります。
それを体感すると、音の魔法にかかってしまって、もっと素敵な音が出るようにと、練習したくなります。
私はその気持ちよさが好きで、練習を頑張ります。
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